Kaleidscopic Gallery Scene

多田布美子展
2005.7/25-30



藍画廊
東京都中央区京橋3-3-8 新京橋ビル1F TEL 03-3274-4729
11:30-19:00 日曜休 http://homepage.mac.com/mfukuda2/


1972 千葉県に生まれる/1995東京造形大学造形学部美術学科卒業

【EXHIBITION】
1995 摩天楼の眺望〜円柱56景 (スペースZOOM)/1996 無重力の旋律展(スペースZOOM)・個展(Gallery FL00R2)/1997 Peace Message' 97 (スペースZOOM)・現代美術の精鋭展 (プルミエ・ギャラリー)・第2回 アート公募'98展(SOKOギャラリー)/1998 2人展(ギャラリー伝)/2002 個展(藍画廊)/2003 個展(藍画廊)・ECLECTIC 4人展(ちばぎんアートギヤラリー)・個展(藍画廊)/2004 個展(藍画廊)/2005 Artlife (フォーラム・アート・ショップ)/2005 個展(藍画廊)


・・・作品のタイトルは「遠ざかる日射し」、「沈みこむ光」、「響き」・・・など。言葉のニュアンスが、作品のイメージを分かりやすく導いているように思います。手前にシルクスクリーンが貼ってあって、画面が二層構造になっていますよね。絵具はアクリルを使われているんですか。

ええ。アクリル絵具を使っています。ただ手前に使っているのは人口シルクなんです。版画のシルクスクリーンに使うよりも目がもう少し粗いので、看板用にも使うんですよ。この人工シルクは自在に色がのせられるし、繊維自体が染まらないから、薬品を使って色を消すこともできるんです。かなり丈夫な素材ですよ。

・・・こういう手法にしようと思った動機は何でしょう。

以前ヨーロッパに旅行に行ったときにインスタレーションが流行っていて、「絵とは何か」その本質を問う装置のような作品に衝撃を受けたんです。概念がガラガラと覆されるのがおもしろいなぁと・・・。

でも私は絵が描きたいう気持ちが強かったんですよ。conceptualに絵とは何かという問いかけをしていこうと思うと・・・例えば箱を提示して、「これは絵です」といった場合も一つの絵の視点になりえますよね。でも私は、基本に絵を描くという行為があってその中にその問題を内包していくことはできないかと思ったんです。

・・・物理的にも画面が二層になっていることによって奥行きがあるわけだし、絵画としての空間の広がりが感じられますね。

実際1.5センチの奥行きはあるんですけど、絵画のもつ奥行きというのはもっと深く深く拡がっていくものだと思うんです。それを探るのに私にとっては今一番フィットする手法なんです。

二層の画面になっていることは、コンセプト的な意味合いが強いわけではなくて、あくまでも絵としての仕事を考えると最適だと思っているだけなんです。二層構造を私のスタイルにしたいわけではなくて、極端な話、見て分からないぐらいが本当はいいんですよ。絵画の問題を内包させつつも、私は絵を描きたい気持ちが強いから・・・。

 

・・・2002年からの藍画廊での個展を拝見していますが、今回は色が絞り込まれているような気がします。そしてかなり光を意識されているのでは?

以前から絵画というのは、光と影で奥行きのある空間ができるところが、おもしろいとずっと思っているんです。でもいつもこの白い部分が物理的な光のように見えてしまうので、例えば以前の作品は、木や葉などを連想させてしまうような色だったり形だったりした為に、あの光が絵画の光ではなくて“木漏れ日”になってしまったんです。そういうふうに限定されてしまうのは嫌なので、色で形を連想させてしまうようなことはなるべく避けたいと思い始めたんですよ。

色を絞り込んだように見えるのは、光の部分をもっと出したいと思って描いていくうちに、周りがどんどん濃く深い色になっていったからです。結局描いているところも大事ですが、描いていないところも大事というか・・・。

・・・描いているところも大事ですが、描いていないところも大事というのは?

それは描いてあるところは描いてないところがあることで成り立っていると思うからです。逆もそうだと思うし、お互いに作用し合って関係性が成り立っているところがあると思うんですよ。

それを探っていったら自然と色も形も絞り込まれてきたというか。今回は、モノトーンに近い感覚で色を使っているんです。色の性質よりも、色の深さで距離感をつかもうと思っているので、自然に画面の中に暗い色の割合が多くなってきたかもしれませんね。

 

・・・以前の作品は、もっと色んな色が使われていたから、空間というよりも色に目が奪われていたような感じはしましたね。確かに今回は色はそんなに気にならないかな。

色んな色を使って描くこともできるんですが、私がやりたいのは、描いていないところと、描いてあるところの関わり合いだから、どちらかメインでもないんです。お互いが必要だと思うところでやろうと思うと、色んな色が出てくるとまた違う次元の問題で、多分私の作品には必要のない要素だったじゃないかと思うんです。やりたいことを出す為には、いらないと思う要素を全部抜いていかないと出て来ないのではないかと・・・。

・・・よりシンプルに向かっていくのかもしれませんね。

そうかもしれません。でもそれを自分自身が探る為に展示をしているんですよ。アトリエで制作しているだけではそこの部分が見えてこないんです。展示することではじめて作品との間に距離を置けるし、色々な方の見方に触れることでより客観的になれるというか。プラスの評価も欲しいですけど、マイナスの評価も怖くない。そんな刺激を求める為に展示をしているのかもしれません。それに展覧会をして分かったことは、今の時点がここにあるだけで、これが最終的な答というわけではないこと。変わらないでいたら止まっちゃうじゃないですか。

〜30日まで

(c)TADA FUMIKO

 

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