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・・・テーマは「触」。コメントを拝見すると性器に関する記述が書いてありますけれど。
具体的な性器というものではないんですけど、人間の手足をなくして、身体の曲線のフォルムを組み合わせていくと、全体的に性器のような形状になっていくというか・・・。
・・・触りたくなるような形ですね。
それが結構狙いでもあるんです。普段エロティックなものというのはタブーじゃないですか。性器は誰の身体のなかにもあるものなんだけれども・・・秘めているというか。隠しているというか。それを少し刺激出来ればと思ったんです。如何にも性器だと分かるような直接的な作品を制作すれば、多分人は遠ざかると思います。けれど人間のフォルムを考えた時に性器は外せないというか、逆に無いとおかしいものなんですよ。
・・・素材はFRP(ガラス繊維やナイロン・ビニロンなどを補強材として加えて成形したプラスチック)を使われているんですよね。
原型は粘土なんです。僕には粘土が合っていると思っています。ただ粘土は原形のままで置いておくことは出来ませんので、FRPだと自分の作ったそのままの形が再現出来るので、また着色も自由自在に出来るということで選んでいます。
・・・FRPで作ることは、金属や木や石の素材よりも手軽に出来るような気がしますが、よく見ると微妙な色のグラデーションがあって、凄く精巧ですね。制作は大変だったのでは?
FRPは決して手軽な素材ではないです。粘土で原型を作って石膏で型どりをして、その型にFRPと樹脂が固まる薬品を混ぜて、固まらないうちに型の表面に塗っていくんです。それが固まったら、型を合わせて剥がすと、とりあえずこの形は出てくるんですが、もの凄くバリがゴツゴツしているので、綺麗に削り落として面を処理して塗装していくんです。
・・・バリがあるんですか。FRPはつるっと出てくるものだと思っていました。
原型は粘土なので、多少指の痕も残りますから最初は機械で削って、その後サンド・ペーパーを使って手作業で削っていくんです。かなりの過程を経過しないと塗装まで辿りつけません。
・・・そういえば、艶めかしいイタリア車のボディーにも似てるかな。
ガラスみたいだと言われた方もいました。ドイツのルイジ・コラーニというインダストリアル・デザイナーはご存じですか?
彼は以前は彫刻家だったんですが、素晴らしい曲線(曲面)美を創るデザイナーとして有名な方で、有機曲線と未来的なデザインが特徴です。過剰ともいる曲線(曲面)は自然界の有機曲線をモチーフとしているんです。あのフェティシュな感覚が僕は大好きなんです。
・・・艶々していて触りたくなるようなイメージなんですね。
触るという事もある意味フェティシズムだと思っています。
・・・でもファイルを拝見すると以前の作品と今回の作品は全然タイプが違いますよね。
例えばこの作品は、一見すると人の背中のようにも見えるんですが、全体的には性器を連想させるようなフォルムになっています。これらの作品は、生命の力強さを出す為に、型から抜いてバリも残してそのままで無骨なイメージを出していたんです。でもそれだと何故か狡いような、それに頼ってしまっているような気がして・・・。
段々とどれも似通った形でパターン化して来て、ですからそれを崩す為にも、今回は重力を感じさせないような不安定さを秘めた完全な曲線のフォルムにしてみようと・・・。ただスタイルは違いますが一貫しているのはエロティシズムなんです。
・・・最初から性器の形がイメージにあったんでしょうか。
デッサンの段階ではもっとズドっとした形でした。それを手で粘土を掻き出してみたり、ひねってみたり、延ばしてみたりして、手で触って心地のいいカーブを意識して作っていきました。一見すると不思議な生き物のイメージがありますが、花の雄しべや雌しべでもあるんです。そこにエロティシズムの魅力を感じるというか・・・。
・・・これからはどのような展開を考えていますか。
僕のなかで手で触って気持ちがいいというのが一番大事なことなので、その作っていく手触りを大切にしていくと、自分なりのいい形が産まれて来るんじゃないかと思っているんです。今回は具象的な形でしたが、抽象的な形になっていくかもしれません。
〜30日まで。

(c)KIKUCHI SUGURU
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