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・・・「新生賞」おめでとうございます。矢野さんのテーマは「人と自然との関わり」とお聞きしましたが、少し説明してくださいますか。
私の作品は、蝉の抜け殻がヒントになっているんです。「人と自然との関わり」というのは、「人と自然」との二項対立ではなく、人も自然の存在であり、ベースにあるのは死生観というか、生きるという形なんです。まさに今生きているという瞬間を形に表現できたらいいなと思っています。
・・・今回のタイトルは“輪廻”。以前は「私風景」というタイトルでしたよね。
「私風景」というタイトルをつけたときも、生きるということがベースにありましたが、はじめは“私の気持ち”を表現していきたいと思い制作していたんです。それは自分だけということではなく、もっと大きな広い意味での「人」を表現できたらいいなというのがありました。今回“輪廻”というタイトルをつけましたが、仏教思想の“輪廻”ではなく、自分が生まれ変わるという意味での“輪廻”なんです。
・・・なるほど。蝉の抜け殻を脱皮ととらえれば、人も脱皮するということですね。ところで矢野さんの技法は「型どり」を使われますが、テーマとの関係は?
人の型を使っているのは今生きている人たち、「今」をすごく大事にしたいと思っているからなんです。「今」でなければその人の顔はとれないし、たとえば同じ人でも10年20年30年経てば全然変わってしまう。
ですから今一番いいと思っている形、今生きている人たちの姿を作品の中に込められたらという気持ちがあったものですから。
・・・「型どり」は、難しい技術なんですか。
顔はアルギン酸でとりますからそうでもないですけど、タイミングが難しいんですよ。体をとる場合は、シーガルが医療用包帯を使っていますが、あれと同じ方法でとって樹脂を流し込むんです。
 
・・・作品の中に鏡が内包されていたり、体の中から手が出てきているのは、やはり内部から生まれ出るということなんでしょうか。
何かが産まれてくるというか。自分の中の「もう一歩を超えたところ」かもしれないです。そういうものを表現できたらいいと思っています。
・・・1993年から作品(http://www.gaden.jp/arts/yano.html)を拝見していますが、最近はかなり動きが出てきたというか。ダイナミックに展開されていますね。
最近は人のフォルムをうまく取り入れたいと思っています。今までは、顔と手だけあれば人が表現できるんじゃないかと思っていましたから、棒状になっていたりしていたのかもしれません。
・・・羽がはえている天使のようなイメージは、理想の女性像なのですか。
人体的には、女性のフォルムを利用しているんですけれども、どちらかというと人を表現しながら、実際に出てきたものは中性的なもののイメージがあり、これは依然言われたことなんですけど「女性のフォルムを使ってもエロチックな感じがしない」と、それはある意味自分が狙っていることで、直どりすると女性なら女性特有の形が、生々しいく出てしまう。でもできるだけ菩薩や観音じゃないですが、中性的な存在を表現したいなと・・・。
・・・菩薩や観音という言葉を聞くと、崇高なるものを具現化しようとされているのかと思いますが、逆にそれを超えることも脱皮に繋がるのかもしれませんね。これから先はどういう展開を考えてらっしゃいますか。
今は人間のフォルムを具体化して形にしてるんですけど、それをもう少し違う形で追及して行けたらいいと思っています。
〜10日まで。

(C)YANOMAKOTO
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