| ・・・ビルさんのHPで、2005年の「Dysfanctional」のシリーズの「Georg
Bush Fetish Head」を拝見しましたけれど、Georg Bush の頭にネジが突き刺さっていてかなり驚きました。作品のベースには、消費されていく社会に対してのアンチテーゼがあるのでしょうか。
Yes。私は「消費と暴力」の関係について制作しています。人が欲望を満たすための消費は結果として暴力を招くものだと思っています。ただ「Georg
Bush Fetish Head」は、かなりダイレクトに消費の問題を扱っていますが、他の作品は、それをもう少し抽象的に表現しています。
・・・2003年2004年2005年と年代順に作品を拝見すると、二つの傾向があるように思います。日本で制作された「coalition
of willing」と「politick」だけを比べてみても、抽象的な形態と具象的な形態に分かれているように見えるのですが、コンセプトの違いはあるのでしょうか。
大まかに二つのシリーズに分けられますが、お互いに絡まり合いながら推移しています。根本的には人間の形やその動きから派生しているんです。「politick」というタイトル作品は、直訳すれば「政治運動をする」という意味なんです。鷲はアメリカのシンボルですし国章にも描かれている。ですからこの作品には、表現手段としてパロディを使っているんです。
・・・鷲は、モラル上悪い性格をした鳥。自分自身で魚をとることをせず、誰かが取ったものを横取りするというイメージがありますね。a
war of aggressionをしているアメリカの姿にダブります。逆に2003-2005年の「「Bound」「Howl」「Elemental」等の作品は、苦痛・怒り・悲しみで、Metamorphoseした人の姿をsymbolicに捉えて、唸っているようにも、呻いているようにも、怒号しているようにも見える。
戦争反対と言っても周りの人達は聞いてくれはしない。だから私は作品として表現しているんです。
Sculpture is alchemy.(彫刻には魔力があります)。ご覧になる方はいろいろな解釈が出来ると思っています。
・・・それぞれの素材に意味性が付与されてますね。
素材は、the symbolic and the realの関係を触知できるものですから、私にとってとても重要なんです。「politick」では翼にロープを使っていますが、ロープには、いろいろな用途の歴史がある。人間の活躍のシンボルであり、コントロールするものとしてのイメージもある。何重にも巻かれ黒く変色してる様は、「恐怖」を操るものの.象徴としても機能しています。逆に木は生きているもの・・・人間の身体をイメージしているんです。
・・・アトリエに入ったときに、楠木の匂いがかなり強かったんですが、いつも楠木を使われるんですか。
芸大では皆、割と楠を使います。でも私は樫も使うんです。最近、谷中の墓地で整備のために樫を切っていたのでもらい受けたんですよ。何故なら私は木の歴史を大事に考えているんです。どこに生えていた木なのか気になるんです。「実際に生えていた木とは対話が出来るし、ビジュアライズできるから価値がある」と思っています。
・・・ところで何故ビルさんは、日本で木彫を勉強しようと思われたのでしょうか。
私は、日本の伝統的な木彫の制作過程や材料を勉強したいと思っています。それまではヨーロッパ中世の木彫について勉強し、作品を制作していたんですが、段々抽象的な作品になってしまい・・・。その頃日本の鎌倉時代の木彫を見てとても惹かれて、特にムーブメントに惹かれました。
・・・これからはどのような展開を考えていらしゃいますか。
今後の予定としては、アメリカに帰って大学で教鞭をとるつもりなんです。日本にいる間に、材料やテクニックや文化を勉強し、そして、いろいろな日本人の方達とお友達になり、日本とアメリカの交流に役立てられるように、これからも作品を作り続けながらがんばりたいと思います。
2月20日-25日まで。

Bound (Installation View).
(c)BILL WOLFF
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