GALLERY TSUBAKI ギャラリー椿 presents

小原 馨展
2月13日(月)〜2月25日(土)



東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F  TEL 03-3281-7808
a.m.11:00〜p.m.6:30(日曜・祭日休廊)
http://www.gallery-tsubaki.jp/tsubaki.html

 近年、「界」というテーマで、通し番号をつけた連作を続けてきました。
<自然界><世界>等、<○○界>の○○をはずし「界」という一字で独立したテーマにすることで、我々のイマジネーションを限定する枠や境界は無くなり、「界」というテーマは私の中で、また、私の作品を鑑賞する人にとっても無限大に広がっていくと考えたからです。
 自己の内(奥の記憶…内面世界)と外(現実世界の美)の境界を取り去リ、両者の美を融合させ、様々な形象と線と色彩の美が融合した創造世界(色々な界)のMAPのようなものを表現したいと思っています。このことは、表現手段についても同様で、「界」というテーマに込められた「境界を無くす」というコンセプトに沿って、手漉き和紙以外にも様々な表現手段を試みています。今後も、視覚と触覚、絵画と版画、油絵と日本画、平面と立体、具象と抽象、等々の枠に囚われない「境界の無いアート」を追求していきたいと思っています。


・・・タイトルは「界」。以前からこのタイトルで制作されていたのでしょうか。

ええ。タイトルもテーマも「界」です。1999年からはじめまして作品点数は220点ぐらいになりました。
「界」は、さかい。しきり。境界など、範囲を示すという意味を含んでまして、多く接尾語的に用いるもので、この文字一字で使うことはほとんどないんです。一般的によく使うのは「世界」とか「自然界」「天上界」ですね。

・・・コンセプトを拝見すると「境界を無くす」とありますが、人間は世界を「界」で分節しないと安心していられないのではないかとも思うのですが・・・。

例えば「縄張りを区切る」という言葉があるように、人は何か区切りがないと安心できない部分はあるかもしれませんね。逆にいえば、人間は自分の内なる世界で安心していたいから、外の世界を遮断してしまう。近年は、それが以前より酷くなって、自分の知っている世界以外見ようとしない。インターネットもそうですが、情報が大量に行き来しているにもかかわらず、人間の考え方は狭くなって閉鎖的になっている感じがします。美術界も同じで洋画、日本画、版画、彫刻・・・そこにはそれぞれルールのカテゴリーがあって、以前よりは自由になりましたけれどバリアーが存在するような気がするんです。

・・・依然として壁はありますね。

私はその壁を飛び越えていきたいと思っているんです。どのカテゴリーにも属さないで自由に行き来できる作品を創りたい、それが「界」というテーマに結びついて「境界を作らない」ということにつながりました。だからといって、実験的に挑戦しているのではなく、あくまでも素材を限定しないというだけで、コメントをお読み頂ければおわかりになるように、絵画は線と色彩と空間がすべてだと思うんです。音楽でいえば12音階の微妙なバランスを聞いて美しいと感じるわけです。でも音は変わらない。それをメインに考えています。例えば私の作品の中に具象と抽象の曖昧な表現があったとしたら、その境界を取り払って色彩だけを見てもらって「きれいだな」と思ってもらえたら、「界」は広がるのではないかと思うんです。

・・・でも、絵具(油彩とアクリル、顔料)や紙(和紙と洋紙)などの素材の違いによっては、見る側が受ける肌ざわりや質感に違いが生ずるのではないでしょうか。

それをなくしていきたいと思っていまして、キャンバスの画面に和紙を入れてみたり、和紙に版画を刷ってみたり、版画の上にドローイングしてみたり、絵具もインク、油、オイルパステル、アクリル、顔料などを使っています。画面の中にいろいろな要素を少しずつ混合させているんです。素材の違いによっては、例えば版画紙は油絵具を受けつけるけれど、和紙は油絵具を受けつけないので、どうしても発色の違いが出てくるんですけど、自分の中ではなるべくその差を無くしていきたいなと思っています。つまりどの支持体を使っても、どの技法を使っても、私の表したいものを一貫して表現していきたいなと・・・。

・・・ある意味、違う素材をコラボレーションすることによって、「界」を超えられる可能性があるということですね。それはコメントにある「自己の内(奥の記憶…内面世界)と外(現実世界の美)の境界を取り去り」という言葉につながっていくわけですね。

私の母体となっているイメージは、自分の記憶に中にある「自然」と自分の郷里の岩手の色彩のイメージなんです。具体的に自然からインプレッションを受けた形も出てくれば、自分の記憶に残っている根源的で原初的な形も出て来ている。でもその境目をなくし自由に融合させたいと思っています。具象的な形にもなれば、抽象的な形にもなる。「こうでなければいけない」という境界をすべてはずしていきたいと思っているんですよ。

     

・・・「こうでなければいけない」という思い込みは、育った環境や文化によって規定される。その視点を変えることは難しいけれど、絶えず世界観を再構築していくことが新たな創造につながっていく。作品を拝見していると、以前よりも色がとても明るくなったような気がします。

私は今、ろう学校で教えているのですが、教えながら色彩を楽しんでいる部分がありますから、自然に自分もいろいろな色を使うようになりました。子供達は、突然思ってもみないような色の混合をはじめるんです。そういう発見をさせてくれるので、すごく楽しいんですよ。例えば版画を刷っていて、普通、赤と緑の反対色を組み合わせたら黒くなるというイメージがあるじゃないですか。大人であれば使わないような組み合わせなんですけど、それが赤・黒・緑とすごくきれいなグラデーションになったんです。こちらが思っていた「界」を子供は広げてくれました。こちらも気を付けないと、経験によって固定観念をもってしまうので、それを打破する環境にいるのは、とても幸せなことだと思っています。

・・・子供はいろいろなことを経験しながら新たな世界を認識しているんですものね。

子供と接することで「自分を広げたい」という意識が出てきていると思いますね。 3月26日まで川越市立美術館で展覧されている「タッチアート!体感する美術展」に参加してるんですけど、展示した20点を青から青緑、緑、黄緑、黄色、オレンジ、赤、赤紫、紫からグレーまで、すべて色のグラデーションで制作しました。立体も制作しているので、手袋をつけて頂ければ触ることも出来るんですよ。ただ、普段自分が不得意とする色も使わなければいけなかったので、結構大変でした。でも思い切って普段使わないような色にもチャレンジ出来たように思います。

・・・自然な流れでチャレンジされているから、見る側も、小原さんのイメージの中に、自然にとけこめるような気がします。それに新たな発見があるとポジティブになれるような気がしますね。

それぞれ今まで創っていたその人なりの「界」があると思うんです。私の作品を観ることで、日本画と油絵、立体と平面、具象と抽象・・・などのカテゴリーのどれにも当てはまらないということを認識してもらって、こういう「界」もあるんだなということを発見してもらえれば、面白いのではないかと思います。観る側が今まで持っていたカテゴリーを取り払い素直な目で鑑賞してくれれば、世界はより広がると思います。

〜25日まで。

(c)OBARA KAORU



1963 岩手県北上市生まれ
1985 武蔵野美術大学 別科 実技専修科<油絵専修>卒業

【個展】
1991 ギャラリー現(銀座)
1994.95 ギャラリープチフォルム(大阪)
1989.91.94.97.2000 柳沢画廊(浦和)
1990.91.93.95.99.2001 ギャラリー椿(京橋)
1999 ギャラリーボイス(岩手)
2000.04 ギャルリーら・ぱれっと(大分)
2002 ギャラリーゆう(岐阜)、松明堂ギャラリー(小平、東京)
2003 シリーズ岩手の現代作家IX「子供の部屋・小原馨展」
    (萬鉄五郎記念美術館/東和町・岩手)
2004 アサヒギャラリー(甲府、山梨)

【グループ展】
1986.87第4,5回上野の森美術館絵画大賞展(上野の森美術館)
1988.89 第52,53回自由美術協会展<88,89佳作賞>(東京都美術館)
1989.90.94 紙に描く展(ギャラリー椿、京橋)
1990.92第10,11回現代美術今立紙展<90佳作賞/92優秀賞> (福井県今立芸術館)
1992 第2回紙わざ大賞展<奨励賞>(静岡県島田市)
1997 京橋界隈97- 小林健二、西村陽平との3人展 (ギャラリー椿、京橋)
1999.2000 第67,68回版画協会展(東京都美術館)
1999 新進作家選抜展『表現としての版画』(ギャラリーイセヨシ、銀座)
1999.2000 coloristes展(金井画廊、京橋)
1999-2004 第67-72回版画協会展(東京都美術館)
2003 版画展2003(ギャラリーイセヨシ、銀座)
2003 子供ワークショップ展「紙と遊ぶ・・・作家と子供のコラボレーション」
    (練馬区立美術館)
2004 岩手の現代美術・・・新収蔵作品展(萬鉄五郎記念美術館、東和町・岩手)
2005 タッチアート・・・体感する美術展(川越市立美術館、埼玉)

【その他】
1994.96 紙とかたちのワークショップ(練馬区立美術館)
1999 子供ワークショップ<紙のオブジェ>(練馬区立美術館)
1999 ワークショップ<触ってつくる(福島県立美術館)
2002 ワークショップ<触れて感じる>(岩手県立美術館)
    ワークショップ<視線をこえる造形>(小山学園テラハウス、東京)
2003 ワークショップ<紙のオブジェをつくろう>(萬鉄五郎記念美術館/東和町・岩手)
2003 子供ワークショップ<紙と遊ぶ>(練馬区立美術館)
2004 子供ワークショップ<紙と遊ぶ>(福島県立美術館)

【作品収蔵】
オペラシティアートギャラリー寺田コレクション
萬鉄五郎記念美術館・岩手

関連情報 2006.2 2006.1 2004.2 2001.4



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