Kaleidscopic Gallery Scene

宮野友美展
2006年3月27日(月)-4月1日(土)



ギャラリー椿GT2
東京都中央区京橋3-3-10 第1下村ビル1F TEL 03-3281-7808
10:00-18:00 日・祝休 http://kgs-tokyo.jp/tsubaki.html


1978年 岩手県生まれ
2004年 多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻版画修了
2005年 CWAJ 50Years Print Show
      25th MINI PRINT INTERNATIONAL OF CADAQUES
      4th LESSEDRA WORLD ART PRINT ANNUAL


・・・タイトルに、江國香織の「道が一本ありました」、尾形亀之助の「四月の原に私は来ている」、銀色夏生の「あなたの出会い」、新潮社宮沢賢治詩集「ローマンス」よりとあるのはなぜですか?

既存の作家の詩からイメージを表出させていますので、特に自分でつけたタイトルというわけではないのです。

・・・そのイメージというのは、左側の詩の内包する世界と右側の絵の内包する世界を、一義的に結びつけている。ということですか。逆にもっと多義的な要素が現出してくるようなシチュエーション設定をしていて、例えば詩を読んで立ち上がってくるイメージと、絵から受け取るイメージが違ったものであってもかまわないということでしょうか。

選びましたからには、詩も知ってほしい気持ちがありますね。だからといって詩を単独で読まれて、私と違うイメージを想像されてもかまわないんです。ただ制作するに当たり、内容的には、例えばこれぐらいの長さで「私の思うイメージを言っていてほしいな」と、探していた部分はありますね。そういう漠然とした希望みたいなものはありました。

・・・ある意味、違うイメージでかまわないというのは?

私自身、詩から立ち上がってくるイメージが、すぐに右の画像に出てきたわけではなくて、かなり長い間考えて描いたものですので、受け手によっても、やはり違うと思うからです。ですから、もし詩にひかれて、実際にその本を手に取って見たときに、私の絵をイメージしなくてもかまわないのです。もちろん私の絵のイメージが出てきてくれれば、うれしいんですけども、詩のイメージも大事にして欲しいですし、私の絵の内包するイメージも大事にしてもらいたいんです。それで御覧になった方がcreativeになってくれればいいなと思います。

・・・手法は、木版ですね。

木版は出来上がり優しい感じがします。木目が全然予期しないところに出て、「しまった」と思うときもあるんですけど(笑)、うまく出てきますと、かわいらしいなと思うのです。それに彩色木版は、日本は突出して発展していると思いますから(私自身日本の風土や気候の中で育っていますので)、やはりこの手法を使いたいと思うんです。

・・・でも木版画は、先人にすごい作家が多いので、かなり厳しいのではないですか。

かなり厳しいです。大先輩や大好きな作家に、どうしても引きずられてしまいますので、ですから、文字の力を借りようとしている部分があるのかもしれません。生活の中から立ち上がってくるイメージよりも、手探りしながら一生懸命考えてイメージに依っていく、その手助けとしてを思いついたのが、本でした。私は本が好きですし、本は手にとって開いて、めくってイメージが出てくるという「間」があるじゃないですか。何が出てくるんだろうと思う人もいるでしょうし、文字を読んで考える人もいるかもしれません。そういう手に取れる自由があると思うんです。その力を借りたいんだと思うんです。

・・・文字の力を借りるということで、今回の展示には、版画だけでなく本の形式になった作品集が置いてあるんですね。

自分の作品を本の形にしてみたいと以前から思っていました。元はといえば、版画は印刷から出発したもの。江戸時代の絵双紙の黄表紙や黒表紙などは、めくって見たわけですから、それに版画のマチエールは、手で持って見るのが一番わかりやすいですし、手に取れるというのはとても魅力だと思います。変な言い方ですが、油絵をめくるというのは不可能じゃないですか。版画であれば、めくることができますし、何冊も持つことができます。それが版画の強みだと思うんです。手の中に入れて大事に見たいし見て欲しい。そういう世界をつくりたいなと思っています。

・・・和とじの本にした理由を教えくれませんか。

和とじだと修理しやすい。というのもあるんです。和とじは糸と紙縒(こより)でとじている形ですので、洋本よりは、紙は大事にされているなという気がします。洋本のとじ方に慣れていますと、少し不思議な感じがすると思いますけれど、今回は全員日本の作家ですので、和とじにしました。

・・・そうするとエディション数は?

10部くらいは考えていますが、自分の刷れる範囲内でいいのではないかと思うんです。木版画は、きちっと版を作っておくといろいろなバリエーションを作ることができて、自分の中で楽しむことができます。版を足したり抜いたりして全然違うものができてきますから、もしかしたら1年後に同じ板を使って全然違うものが、できているかもしれません。そういう楽しみ方もあるんですよ。だから御覧になる方にも、余り構えないで楽に見てほしいという気持ちがありますね。

・・・これからの展開をお聞かせください。

これからはもしかしたら、自分で文字も考えていくかもしれないですね。今回は和とじ本ですが、もう少し方法を考えて、洋とじの本にも挑戦したいと思っています。

〜4月1日(土)まで。

(c)MIYANO TOMOMI


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