井手尾 摂子展

2006年11月24日(金)-12月2日(土)

ギャラリーアートもりもと

東京都中央区銀座3-7-20 
銀座日本料理会館2F

TEL 03-5159-7402

10:30-18:30

--関連情報--

 

略歴
1961 長崎県に生まれる
1983 安宅賞受賞
1984 女子美術大学洋画科卒業
1986 多摩美術大学大学院芸術学部修了
1996 木崎さと子著「光る沼」(新潮社)表紙装画
1999 オペラ・リリカ八王子「蝶々夫人」ポスター、チラシ原画
2000 第35回昭和会展優秀賞受賞
個展
1995 スポーツニッポンギャラリー(江東区)
1996 ギャラリーアートもりもと(京橋)'97
1998 画廊翠巒(前橋)
2004 ギャラリーアートもりもと(京橋)
2005 「絵本原画展」リウボウホール(沖縄)
グループ展他
1996 「MUSE新作美術展」(所沢市民文化センターMUSE)
1999 ー絵と陶で遊ぶー三人展(柴田悦子画廊・銀座)
2000 時分の花(ぎゃらりぃ朋・銀座)
  三人展ー交叉する行方ー(ギャラリーしらみず美術・銀座)
2001 時のかたち(横浜市民文化センター)以後毎年
  −絵と版で遊ぶ−三人展(柴田悦子画廊・銀座)
2002 第36回昭和会展賛助出品(日動画廊・銀座)’02
  竹くらべ(ギャラリーミリュウ・銀座)
  第2回新たなる視覚展(福岡日動画廊)
  現代洋画の潮流(名古屋三越、日本橋三越)
  絵と本で遊ぶ−三人展(柴田悦子画廊・銀座)
2004 前田寛治大賞展(日動画廊・倉吉博物館)
2005 八章会(横浜高島屋)
出版物 絵本「いくさー、せーならん。」(作/北川登園、画/井手尾摂子)

 

・・・今回のテーマを教えて頂けますか。

花をテーマに描いてみたいと思い沖縄の花を描きました。去年「いくさー、せーならん」(作/北川登園、画/井手尾摂子)という絵本の挿絵を描きまして、沖縄に何回か行くうちに変わった花がいっぱい咲いているのに気がついて、名前も「はまかんだ」「てぃんさぐぬ花」など、色も形も見たこともないような、また生命力も型破りな感じがしたので、それに惹かれて描いてみました。

・・・「いくさー、せーならん」というのは、戦争を絶対にしてはいけないということですね。主人公は沖縄県中部の読谷村に生まれ育った山内嘉政さん(88歳)の実話に基づくお話ということですが・・・。また「てぃんさぐぬ花」の響きは哀愁のある不思議な音を感じます。

戦争のことも沖縄のことも知らない私が描くべきではないと一度はお断りしましたが、考えた末、挑戦することにしたんです。「てぃんさぐぬ花」は、沖縄県の民謡にもなっていて、若干教訓めいた歌詞なんですけれども、花自体はホウセンカのことで、ひと昔前までは、女の子がてぃんさぐの花を取り、それをつついた汁を爪先に塗って遊んでいたそうです。

・・・だから女の子の爪が赤い色をしている作品を描かれたのですね。

沖縄では赤は悪魔の目を潰すと考えられているみたいですよ。

・・・魔除けという意味合いから、「朱夏」という作品には鳳凰が描かれているのでしょうか。朱は赤であり、五行説では南方の色とされていますよね。

鳳凰は架空の鳥ですから、結構資料は集めました。荘子の【逍遥遊遍第一】に「是の鳥は,海が動き大風が吹くとき南冥(南の果ての海)へと飛翔する」という文章があるのですが、鳳凰には九万里の高さから大地を見ているイメージがありますね。それらを参考にしたり、各地に残る不死鳥伝説を見たり、また鳳凰は極彩色だったという説もあるのですが、私は何故か白い色じゃなければいけないような気がして・・・。

・・・鳳凰のイメージは空想を刺激されますが、沖縄との関係を考えるとやはり色は白という気がします。ところでテンペラを使われたきっかけは?大学時代から描かれていたのでしょうか。

いえ。大学のゼミでテンペラを教えてもらっていたんですけれど、当時は箔も使っていませんでしたし、ハッチングを油絵に生かしていたぐらいなんです。学校を出てからしばらく会社で働いていましたので、絵を描いていない時期がありました。それでまた絵を描き始めようと思ったときに、ヨーロッパに遊学しまして、そのときに日本美術をもっと勉強しなければいけないと痛感して・・・自分がなぜテンペラに惹かれるのか突き詰めたときに、西欧と東洋の両方で使われている箔の存在に辿り着きました。日本画の絵具も試したんですけれども、やはり立体的な表現をしたいのでテンペラの技法に行き着いた次第です。もう 10年ぐらい描いているんですよ。

・・・箔を使うことで装飾的な空間を表出させ、現実の空間にある花や鳥を描かれることで、同一の平面の中に二次元的な要素と、多次元な要素を融合させる試みをされているのですね。ある意味鳳凰の存在は、異次元の空間を飛ぶ彗星のようなにも見えました。

それは強いと思います。私が根本的に描きたいのは「生命観」みたいなもの、象徴的なものを描きたいという風には思っています。今回の展覧会は、例えば箔の使い方など、今まであまりやってみようと思わなかったことに挑戦していますので、少し可能性が開けたような気はしているんですよ。

〜12月2日(土)まで。

(c)IDEO SETSUKO