浜田澄子 展 「holy zone ≒ horizon」

2007年4月2日(月)-7日(土) 11:00-19:00 祭日休

galleria grafica bis 東京都中央区銀座6-13-4 銀座S2ビル TEL 03-5550-1335

holy zone ≒(近似値) horizonについて。
ーconfusionから光の彼方へー

horizon(水平線、地平線)を前にした時、人はそれにいったい何を感じるでしょうか?
horizonがある風景には、それが湖でも海でも野原でも、何か静謐で澄みわたった、独特の雰囲気が満ちていると思います。手がとどかないものへの憧れや、未知な物に対する畏怖すらも時には感じることもあります。幽かだけれど屹立とした線は、天国(heaven)と地獄(hell)、物質と魂、生と死、など様々な 相容れない二分律のものを隣接させているのです。

数年前に大切な家族が逝き、私の目の前からその肉体が喪失してしまったときに、私は混乱しました。それまでは魂と言うものがあることを疑いもしていなかったのに、空漠たる思いでいっぱいになりました。この手で掴めない、触れられないという現実はそれまで漠然とあることを信頼していた魂というものが、いかに観念的で嘘だったかということを圧倒的な事実で私に知らしめたのです。せめて実感はないけれど彼岸に行き去った存在と混じりあいたいという願望を持って、私は「confusionー彼岸と此岸のはざまでー」という作品を作りました。それは無彩色の構成で、逝きゆくものを光のシャワー(光を瀧に見立てる)で満たし、自身を黒い漆黒の壁に見立てたものでした。

confusionの翌年個展の話しがあった時、私は「沼」という作品を作りました。日常は平常に運行しても、まだまだ心の闇は深く、親としての肩の荷は重く周りも見えず心が定まらなかった2003年夏 のことです。出来た作品を見て驚きました。こんな不気味なものが心にあったのかと。これでは救われないはずだと。映画リングの貞子が出てきそうではないかと。しかし作品にしたことで私は解放されたのです。表現したことで見たくない自分が昇天したのです。本当に嬉しく思いました。私は不安を消し去ることはできないかもしれないけれど、いつでも作品をつくることにただ立ち返れば良いのだと思いました。だんだん漆黒の壁のような作品が明るくなってきました。風がふきすさび、命がわきたつようなフィールドという作品で、生命力、のようなものを表現したくてたまりませんでした。

・・・闇から光への飛翔。

逝ってしまった者を諦めることは、矛盾するようですが焦がれて止まない存在が心のなかに気配として存在することを意味していました。心が波打つ時にはきずかなかった、深い安心感や統合感を私は自然の中を彷徨ったり、大切にしてくれる友人達から得ることが出来ました。そういう時、境目や境界線がなくなくなって、溶けてしまうような、そこは逝ったものも生きている誰某もみんな在るような、不思議な感覚に瞬間的になることがありました。どんなに恋いこがれても、その場所は未だ未知で憧れでしかなく、私自身はここに生きているわけですから闇(黒)ではなくて、「輝いた色にあふれた光の世界を表出したい」という思いが強まってきました。それで色を全面的に開放いたしました。

死んだあちら側がが幸せなのか、生きているこちら側が幸せなのかは分かりませんが今の私には、生きて寿命がある内は思いっきり「生」を謳歌すること、それがこの世に残ったものの定めであると考えています。

horizonは厳然たる結界として存在しますが、異なったニ分律のものが揺らぐような幽かな線で隣接しているということが、今の私の実感を込めた自分の世界の認識なのです。私はそれを聖なる領域「holy zone」と名ずけました。絵画的にはオリジナル、ということをまず一番に念頭に入れました。色面でニ分律を表現する場合、マーク・ロスコのような作家がいる訳で、私にしかできない表現とは何だろうと考えました。

  

・・・紙を何層にも張り合わせ色を重ねることで、構築的で鉱物質なテクスチャーを創る。それが生きることに繋がるのではないか。

色を使う以上は質感にこだわりたい部分があります。
また古典技法では、色は重ねることでより美しい色になるということが証明されています。光の屈折率で、薄い層のものを何層も重ねることで色は深みを増してくる。また色は緻密に交錯させることで物質感を生み出すのではないかと。それは紙を貼り合わせ画面に凹凸を生みだすことも相乗効果となりました。生きることは平坦ではなく何かを構え築くことではないかと思うのです。物質観を構築するのは、ある意味「生」がエネルギッシュで、手ごたえに満ちたもののような気がするからです。

・・・これからの展開。

今回は horizonのhを小文字にしてしまったのですが、むしろHにすれば、一つの柱「|」と一つの柱「|」を橋渡しする「―」があることで、余計「holy zone ≒(近似値) horizonの意味を」強く打ち出すことができたのではないかと、少し後になって気がつきました。アルファベットは表音文字となっていますが、基は北西セム語族の言語を記したフェニキア文字が有力と考えられている象形文字だったようです。ですからHにすれば、HellとHeavenとか彼岸と此岸とか、二分律するものを横軸(水平線)でつなげることができたのではないかと思っています。

絵画的な作業としてはこの仕事はとてもおもしろく、ようやく自分のオリジナリティーを擁立できたような感じを掴めました。あらゆる色面の可能性やアーユルヴェーダのような資質の違うものが自分のなかにあるような冒険ができますので、パース をいろいろ変えながら軽いイメージの色や重いイメージの色を構築させて このテーマでこれからも連作していきたいと思っています。

〜7日(土)まで。

(c)Hamada Sumiko

関連情報

浜田澄子略歴
1957年 横浜に生まれる
1984年 創形美術学校造形研究科卒業 個展賞
1982年 銀座絵画館(銀座)
1983年 西瓜糖(阿佐ケ谷)
1989年 西瓜糖(阿佐ケ谷)
1991年 《ナワールヘ》 藍画廊(京橋)
1992年 《浜田澄子展》 藍画廊(京橋)
《青山道場フェスティバル2周年記念 浜田澄子小品展》青山道場(青山)
1993年 《浜田澄子小品展醒めて優しい空》シチズンローマンギャラリー(日比谷)
1994年 《層」》And GaNery (豪徳寺)
1995年 《Attracutive Japan》 藍画廊(京橋)
1996年 《浜田澄子展》 藍画廊(京橋)
1998年 《The Earth And Heaven》 藍画廊(京橋)
《浜田澄子展》アトリエUNO(白金台)
1999年 《Inside Energy1》藍画廊(京橋)
《inside Energy 2》 アトリエUNO(白金台
2000年 《Inside Energy 3》 藍画廊(京橋)
《浜田澄子展/1998-2000 Recent and New Works》Cafe de la Fecdtie.Galerie Mlille Feuilles.(下北沢)
2001年 《浜田澄子常設展》Cafe de la Feuille.Galerie Mlille Feuills.(下北沢)
《Confusion》 表参道画廊(表参道)
2002年 《With BEETHOVEN SONATSA NO.14 MOONLIGHT ,1st,3rd》Cafe de la Fecdtie.Galerie Mlille Feuilles.(下北沢)
2003年 《Firid》 K,s GaHery (銀座)
2004年 《Mental Scenery》K.S Gallery (銀座)
2005年 《white dimension black demension》宇フォーラムKV21美術館(国立)
《SILENT BLUE》SPCギャラリー(茅場町)
2006年 《spiral rose》PLATFORMSTUDIO(銀座)
2007年 《holly zone≒horizon》galleria grafika. bis(銀座)
グループ展.その他 (◆受賞歴)
1984年 《二人展》 銀座絵画館(銀座)
1990年 《Exrr展》スペースA.D2000 (原宿)
1993年 《松濤美術館公募展》松濤美術館(渋谷)◆松濤美術館賞受賞
《目黒区の美術.書1992》
《第11回上野の森美術館大賞展》
《ミニヨン展》 日動画廊(銀座)
《And Galleryの眼Vol.1アートショップ現代美術の小品》And Gallery (豪徳寺)
1994年 《目黒区の美術.書1993》
《第4回紙わざ大賞展》(静岡県.島田市)
《ミニヨン展》 日動画廊(銀座)
1995年 《THREE EXHIBITION》東邦生命ギャラリー(渋谷)
《And GaHeryの眼Vol.2アートショップ現代美術の小品》》And Gallery (豪徳寺)
《第18回神奈川国際版画アンデパンダンテ展》神奈川県民ホール(横浜)
1996年 《目黒区の美術.書1995》
《第25回現代日本美術展》
《第32回神奈川県美術展》神奈川県民ホール(横浜市)◆特選賞受賞
1997年 《第4回水彩展OHARA》大原美術館(千葉県.大原市)◆特選賞受賞
《第33回神奈川県美術展》
《The SECOND EXHIBITION》東邦生命ギャラリー(渋谷)
1998年 《第5回水彩展OHARA》大原美術館(千葉県.大原市)◆奨励賞受賞
《第2回雪舟の里 総社 墨彩画公募展゛98》(岡山県.総社市)
《第34回神奈川県美術展》
《現代墨への挑戦`98東海テレビ墨画展》(愛知県名古屋市)
《`98公募第11回全国和紙面屋》(岐阜県.美濃市)◆佳作賞受賞
《`98現代美術の新鋭20人展》(綾瀬市)
1999年 《Ten…》藍画廊(京橋)
《和紙-12の様相》GALLERY FRESCA (新宿)
2000年 《アジア.アフリカ.ラテンアメリカ交流美術屋》
《版の饗宴》藍画廊(京橋)
《和紙-12の様相2》GALLERY FRESCA (新宿)
2003年 《多摩秀作展》青梅美術館(青梅市)
《ピエングラフ展》サロン デ ボザール(京橋),石井画廊(前橋)
2004年 《新世紀現代美術晨》ギャラクシテイこども科学館イベントホール(足立区)
《第38回 足立区展》シアター1010ギャラリー(足立区)
《日韓現代美術100人展》ギャラリーアーチストスペース(銀座)
《ピエングラフ展》サロン デ ボザール(京橋)
2005年 《ニューイヤー響展2005》新世紀現代美術協会企画 画廊響き(銀座)
《K、s Galleryに集う作家達展》 O美術館(大崎)
《HOPE 日韓交流美術展》 駐日韓国大使館韓国文化院
《第13回プリンツ21グランプリ展》(銀座、世田谷美術館)◆新日本造形賞受賞
《第21回南部現代美術展》(韓国)
《第39回神奈川県美術展》 神奈川県民ホール
《第6回熊谷守―大賞展》 (岐阜 中津川市)
2006年 《日韓美術交流展》  神奈川県民ホール
所蔵
清隆寺(北海道.根室市)
青山道場(青山)
赤塚建設(愛知県)
他多数